バッハの学校 原宿

 

序文

鍵盤音楽、特にピアノ音楽に特定された講座。開設から長年に亘ってバッハ作品の分析・バロック音楽論、精神史等の講義が行われた。その後、バッハ以降の鍵盤音楽史の講解に移行。モーツァルトやベートーヴェン等の作品が取り上げられ、目下はショパンの音楽論が主たるテーマになっている。

 

バッハの場合と同様に、作品の背景等の説明に時間が割かれ、個々の作曲家の思想を捉えるための一手法として、声楽作品におけるテキストの選択、テキスト詩文の解釈・作曲法を抑えた上で鍵盤音楽作品への言及がなされる形がとられている。

 

目下のテーマであるショパンの場合、基本参考資料に『弟子から見たショパン』を用い、ショパンとバロック音楽、バロック演奏法の関係を中心の問題点としている。併せて、バロック演奏法・作法に種々の影響を与えたギリシア・ローマの修辞・弁論の技を取り上げ、ことばの世界の表現法がどのように音楽技法として活用されたかについて検討されている。

 

原宿講義では2016年より新たに午後の講義として、いわゆる譜読みのための分析の時間が設けられることになった。当面の課題として、ヨーロッパ音楽の基礎に置かれた数比例の考えと実際の演奏におけるリズムの関連性、或いは弁論術と作品構造の対応関係が講義されている。

 

リズムと音楽の響きについてローマ時代のアウグスティヌスの手になる『音楽について』が講読され、中心の課題としてリズムと宇宙論、リズム・音楽的時間の向かうべき方向性等が議論されている。

 

(記.丸山)

2018年度講義

午前:第1講義

バッハに還れと言われる。バッハは源泉であるからだ。

 

しかし還ることは、振り返って当初に戻ることではない。バッハにおいて還ることは、遥かな高みへと登り行くことを意味する。

 

これまでに少なからぬ時間をかけて学び手にした音楽の歴史に関する知を総合し、それを足台にして再びバッハへと登る旅。源泉は高く在って、そこへと登り行くそのときに、源泉から流れ来る小さな川の水は、歩む人の魂の歌を豊かなものにしてくれるであろう ― バッハについて、しかし肝要なことは学んで単なる知識を増やすことではない。学びを超えてはるかに、バッハの音楽が道行く人を教え導くからであって、人はただ響き来るその教えに耳傾けることが求められるに過ぎない。聴け、声がすると言ったのはリルケであったか。

 

プレリュードとフーガが織り成す星辰の語ることばに傾聴することから、歩は踏み出されることになるであろう。

 

 

午後:第2講義

バロックと呼ばれる時代に、音楽の作法を形成した礎のひとつは修辞的表現法であった。弁論・演説のように、音楽もまた語られる話法に拠って作られ奏されていた ― しかし修辞法を学ぶためには先人の知に通暁していなければならない、と語ったのはローマのキケロであった。

 

先人の知恵は無論ギリシアの哲学を指す。自然という宇宙の実態を知り、在ることの意味、存在論を手にし得て漸くに人は何か表現すべき事柄に目を向けて、それを表現する技 ars を模索し始める。

 

金曜午後の原宿第二講義ではギリシア人の考えを学び、かつ、それを背景に具体的作品の分析を行う。

 

今期は、ブクステフーデ及びバッハのパッサカリアに音楽化されて表されたバロック宇宙論と、キリスト教的創造の概念を楽譜に読む作業を行う。

 

日時

2018年(平成30年) 4月13日(金) 午前:11:00 ~ 12:45, 午後:13:15 ~ 15:15

2018年(平成30年) 5月11日(金) 午前:11:00 ~ 12:45, 午後:13:15 ~ 15:15

2018年(平成30年) 6月8日(金) 午前:11:00 ~ 12:45, 午後:13:15 ~ 15:15

2018年(平成30年) 7月13日(金) 午前:11:00 ~ 12:45, 午後:13:15 ~ 15:15

2018年(平成30年) 9月14日(金) 午前:11:00 ~ 12:45, 午後:13:15 ~ 15:15

2018年(平成30年) 10月12日(金) 午前:11:00 ~ 12:45, 午後:13:15 ~ 15:15

2018年(平成30年) 11月9日(金) 午前:11:00 ~ 12:45, 午後:13:15 ~ 15:15

2018年(平成30年) 12月14日(金) 午前:11:00 ~ 12:45, 午後:13:15 ~ 15:15

2019年(平成31年) 1月11日(金) 午前:11:00 ~ 12:45, 午後:13:15 ~ 15:15

2019年(平成31年) 2月8日(金) 午前:11:00 ~ 12:45, 午後:13:15 ~ 15:15

2019年(平成31年) 3月8日(金) 午前:11:00 ~ 12:45, 午後:13:15 ~ 15:15

 

(日程は8月を除く毎月第2金曜日の午前11時〜午後0時45分及び午後1時15分〜3時15分です。)

※止むを得ない事情で日程が変更される場合は、早めにご連絡致します。

 

会場

千駄ヶ谷区民会館

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-1-10

交通:JR原宿駅表参道口より徒歩10分 または 東京メトロ千代田線・副都心線 明治神宮前駅5番出口より徒歩8分

(場所の詳細についてはこちらの地図をご参照ください。)

 

お問い合わせ先

メール: scholabachen.harajuku(at)gmail.com

(上記アドレスの(at)を@に変えてからメール願います)

これまでの歩み

2017年度講義

音楽の在り方を巡る論争 ー 音楽は「ことば」に依拠されるべきか否か。

 

既に古代ギリシアにおいて取り上げられたこの問題は今日においてなお未解決である。西欧の歴史の中で繰り返されたこの論議に、しかし決着を求めることではなく、この論争が明示している事柄への認識が重要である。

 

音楽の領域における「ことば」の存在、という以上に、音楽の根拠をなして「ことば」は在る。

 

歴史上の知見からすれば「ことば」への人間の意識はルネサンスに集中される。だがバッハの時代にも「ことば」による表現は音楽の基をなし、更に18・19世紀のリートの時代に状況は同一であった。

 

音楽の基本的在り方を見極めるために「ことば」の芸術、その表現の技について、鍵盤音楽の響きを見据えながら検討を重ねてみる。

 

(記.丸山)

   

日時

2017年(平成29年) 4月14日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2017年(平成29年) 5月12日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2017年(平成29年) 6月9日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2017年(平成29年) 7月14日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2017年(平成29年) 9月8日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2017年(平成29年) 10月13日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2017年(平成29年) 11月10日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2017年(平成29年) 12月8日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2018年(平成30年) 1月12日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2018年(平成30年) 2月9日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2018年(平成30年) 3月9日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

 

(日程は8月を除く毎月第2金曜日の午前10時45分〜午後0時30分及び午後1時〜3時です。)

※止むを得ない事情で日程が変更される場合は、早めにご連絡致します。

 

会場

千駄ヶ谷区民会館

2016年度講義

午前:ショパン講義

ショパンの、おそらくは一般に知られざる顔 - バロック音楽を基にしたその作法について『弟子から見たショパン』を手掛かりに研究する。バロック的装飾の問題、語りかける演奏等、ショパン作品の構造と演奏の基礎をなす問題点に照明を当てる。但し、ショパンにおけるこの種の実践の問題の背後に、これを支えるものとしてバロック的宇宙観・時間意識は存在したと考えられることからして、講義・研鑽の向かうところは自から決定されるであろう - ショパンの音楽の形而上学的形姿の把握である。

 

 

午後:楽曲分析

「作品」は「構造」である。従って分析はこの構造の析出であり「楽譜」を「構造」として読むことである。

 

何か作品の構造を形成する基礎的要素のひとつである「リズム」にはリズムによって表される何かの構造があるが、リズムのこの様なあり方は古代ギリシア・ローマの宇宙観の中で形成され、西欧の音楽構造を規定するものとなった。リズムについて考えることは、この宇宙観に立つ音楽について考えることに等しい。

 

アウグスティヌスの音楽についての思索が纏められた『音楽について』はこうした音楽のあり方について学ぶに際しての最良の手引きのひとつである。 原宿の午後講義ではこうしたリズムの本質について考え、併せて具体的なピアノ作品の分析の例をベートーヴェンのソナタに求めて研鑽を積んで行く。

 

(記.丸山)

 

日時

2016年(平成28年) 4月8日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2016年(平成28年) 5月13日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2016年(平成28年) 6月10日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2016年(平成28年) 7月8日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2016年(平成28年) 9月9日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2016年(平成28年) 10月14日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2016年(平成28年) 11月11日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2016年(平成28年) 12月16日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2017年(平成29年) 1月13日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2017年(平成29年) 2月10日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

2017年(平成29年) 3月10日(金) 午前:10:45 ~ 12:30, 午後:13:00 ~ 15:00

 

(日程は8月を除く毎月第2金曜日の午前10時45分〜午後0時30分及び午後1時〜3時です。)

※止むを得ない事情で日程が変更される場合は、早めにご連絡致します。

 

会場

千駄ヶ谷区民会館